WHO WORKS ON AN AMBULANCE救急車に乗っている人(職業)とは

救急車に乗っている人の職業は何ですか?」という疑問は、多くの方々が一度は持ったことがあると思います。町でサイレンを鳴らしながら走る救急車。その車内には、必ず数名の隊員が同乗しています。
では、救急車に乗っている人は一体どのような職業で、どのような資格を持っているのでしょうか
結論から言えば、救急車に乗っている人は基本的に「消防職員」であり、その中に「救急救命士」と「消防隊員(救急救命士資格を取得していない者)」が含まれます。
つまり、救急車に乗っている人たちは全員が消防署に所属する地方公務員であり、そのうち救急救命士資格を取得している者が専門的な医療行為を行うという仕組みになっています。

消防隊員?消防吏員?
消防団員?

「消防団員」とは

消防で働く人全体を指す言葉で、全ての人が地方公務員です。その消防署の中の部署である総務課、予防課、警防課および通信指令課など、普段は災害現場に出ていない職員も含みます。

「消防吏員」とは

消防職員の中で、消火・救急・救助などの業務を行う者のことを言います。いわゆる現場で救急活動や消火活動を行う職員のことです。この消防吏員が世間一般の「消防士」と同じ意味合いになります。

「消防団員」とは

消防署で勤務する常勤消防職員とは異なり、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を活かした消火活動・救助活動を行う、非常勤特別職の地方公務員です。
消防団員は専業の消防士ではなく、普段は会社員、自営業者、主婦(主夫)など、他の仕事をしている人がほとんどです。緊急の時だけ出動する地域特化型の兼業消防士とイメージすれば理解しやすいかもしれません。
都市部ではあまり消防団の活動はありません。常勤の消防職員の配置が少ない地域ほど存在意義が高く、消防団の活動が活発に行われています。

救急車に
乗っている人は誰か?

救急車に乗っている人は通常3名であり、一般的な編成は次のとおりとなります。

救急隊長

出動全体を指揮し、現場での判断を行います。

救急救命士または救急隊員

患者への処置を担当します。

運転兼任の隊員

車両の運転を担当します。必要に応じて処置の補助をします。救急現場に到着し、救急車内に傷病者を収容するまでは、救急隊員としての業務を行います。

この3名体制は全国で基本とされていますが、各消防本部の規模や人員配置によって変化があります。大規模な都市部の消防本部では、「3名全員が救急救命士」で構成されるケースも少なくありません。
一方で、比較的小規模な自治体では、「1名が救急救命士で残り2名が救急救命士資格を持たない消防隊員」となる場合もあります。

救急車に乗っている
救急隊員になるには

「救急車に乗っている人は誰?」と問われれば、その前提条件は、先ほど説明した「消防職員」であることです。救急隊員は消防組織の中で救急車に乗車し、災害や事故などによる傷病者の搬送や応急処置を行う役割を担います。そのため、まずは地方公務員試験に合格し、消防士として採用されることが出発点となります。
その後、日本全国各県に存在する「消防学校」において「救急標準課程(救急科)」を修了する、または国家資格である「救急救命士」を取得することで、救急車に乗ることができるようになります。

救急標準課程とは?

救急標準課程は、各都道府県の消防学校で実施される教育課程で、通常250時間以上(約2か月)の教育を受ける必要があります。
消防学校の教育訓練は、総務省消防庁が定める基準に基づいて行われているため、地域による差はほとんどありません。

到達目標としては、次のような内容が挙げられています。

  • 救急業務および救急医学に関する基本的な知識を有すること
  • 応急処置に必要な解剖生理学や各疾病の状況を理解していること
  • 応急処置に必要な観察、判断能力と技能を十分に発揮できること
  • 救急用器具や資材の取り扱いに精通していること

この課程を修了すると「救急隊員」として救急車に乗ることができるようになります。
さらに、平成3年の法改正により救急標準課程修了者が行える処置は拡大されました。例えば、血圧測定、聴診器による心音・呼吸音の聴取、パルスオキシメーターによる酸素飽和度測定、心電計による心電図伝送、経鼻エアウェイによる気道確保、異物除去、ショックパンツの使用、自動胸骨圧迫器の操作、在宅療養中患者の処置維持など、現在では幅広い資器材を活用した対応が可能です。

救急車に乗っている
救急救命士とは?

消防署で働く救急救命士には、育成パターンが2つあります。
1つは、消防署に入職後、前途の救急標準課程を取得し、その後、救急隊員として実務経験5年もしくは2000時間を経て救急救命士の養成課程(消防士のみが入校できる救急救命士養成所)を終了後、国家試験に合格すること。
もう1つは、救急救命士学科のある専門学校で必要な単位を修得し国家試験に合格すること。
上記のどちらのパターンでも、必要な課程や単位を修めた後に救急救命士国家試験に合格することが必須条件となります。

救急救命士は重度傷病者、特に心肺停止や重篤な状態にある患者に対して、医師の指示のもと高度な救命処置を行えます。これらは「特定行為」と呼ばれ、次のような処置が含まれます。

  • 乳酸リンゲル液などを用いた静脈路確保と輸液
  • 気管挿管やラリンゲアルマスクなどによる気道確保
  • エピネフリンなどの薬剤投与
  • ブドウ糖溶液の投与

このように、救急救命士は救急標準課程で行える処置に加えて、命を直接つなぐ医療行為を実施できるのが特長です。

救急車に乗っている人の職業=
消防隊員+救急救命士

救急車に乗っている人(職業)のここまでを整理すると、救急車に乗っている人の職業については、次のようにまとめられます。

  • 救急車に乗っている人は全員「消防職員」である
  • その中に「救急救命士」と「救急標準課程を修了した消防隊員」が含まれる
  • 救急標準課程では応急処置の基礎から器具の使用まで幅広く習得する
  • 救急救命士は国家資格に基づき「特定行為」を行うことができる
  • 救急車に乗っている救急隊は通常3名体制で出動し、構成は消防本部の規模によって異なる

つまり、救急車に乗っている人の職業は「救急救命士」だけではなく、「救急隊員を含む消防隊員全体」となります。

救急救命士学科の役割

救急車に乗っている人である救急救命士を養成するための救急救命士学科をもつ専門学校では、未来の救急救命士を育成するため、基礎医学、災害医療、救急処置学、さらには実習を組み合わせた体系的な教育を行っています。
救急救命士国家試験合格を目指すだけでなく、現場で即戦力となる人材を育てるため、救急車内を模した実習設備や災害現場を想定したシミュレーション環境を整備しています。
また、経験豊富な教員陣が国家試験対策や就職指導を徹底的にサポートし、卒業後は消防署、病院、民間救急会社などの幅広い進路で活躍できるよう支援します。

「救急車に乗っている人の職業は?」という疑問に対して、多くの人は「救急救命士」と答えるかもしれません。しかし、正確には救急車に乗っている人は全員消防職員であり、その中に救急救命士と救急標準課程を修了した隊員が含まれているのです。
命を救う最前線に立つ救急救命士は、国家資格を持つ医療専門職としてチームの中心を担います。
救急救命士学科をもつ専門学校では、その使命感を胸に、人々の命を守る救急救命士を育成しています。
もし、あなたが「救急車に乗っている人の職業」に関心を持ち、その一員として社会に貢献したいと考えるなら、ぜひ救急救命士を目指してほしいと思います。

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